2008年1月29日火曜日

グラディエーター(リドリー・スコット監督2000)


 歴史活劇映画といえば、古くは『スパルタカス』[1]、『ベンハー』[2]、昨今では『ブレイブハート』[3]が名高い。いずれも何部門もアカデミー賞を受賞した。とりわけ自分は『ブレイブハート』にはとても感動させられた。
 こうした古代・中世スペクタクル作品において成功の是非を決めるのは「質」ではなく「量」である。城や村を再現した大掛かりなオープンセット、剣や兜、鎧、貴族の衣装といった一連の装飾品への惜しみない予算の投下。そして何よりも「大量のマンパワー」が必須となる。一度に一箇所に数万人というエキストラを集めて行う合戦シーン、これがこのジャンルの最大の見せ場だからだ。
 超大作であった本作は、それゆえ制作費が1億5千万ドルにも及んだ。それは見事に作品のクオリティに反映されて、見るもの誰をも魅了する作品へと完成したのだった。従来の歴史もののように豪華絢爛なビジュアルだけでなく、最新のCG技術も駆使して主人公が虎と戦う場面など数々の名アクションシーンも作り上げている。
 名声をひがんだ皇帝によって命を狙われて妻子を殺されたローマ軍の将軍が、剣闘士になって復讐を果たすという物語は、日本の時代劇でもお馴染みの構図だが冒頭で描かれる主人公の栄光の時代と、その後の没落ぶりの落差によって観る者は強く感情移入してしまう。
 最後には、皇帝を道連れにして主人公も命を落とす。ハリウッドの定番である手放しのハッピーエンドではないのだけれども、はかなく悲しいラストシーンはいつまでも余韻を残すのだった。文句なく楽しめる大作だと断言できる。了
[1] スタンリー・キューブリック監督『スパルタカス』1960
[2] ウィリアム・ワイラー監督『ベン・ハー』1959
[3]メル・ギブソン監督『ブレイブハート』1995

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