2008年1月17日木曜日

クルーレス(エイミー・ヘッカリング監督1995)80点


 俳優のプロモーションビデオのような映画は確かに邪道かもしれない。それでも、ニーズがあるから製作されるのであってそれなりの価値や役割は明らかに存在する。例えばトムクルーズの『カクテル』[1]もこうした作品である。本作も大半の人はストーリーよりも「アリシア・シルバーストーン」をとくと眺めたくて見たに違いない。自分もその1人で、数年前に雑誌『スクリーン』[2]で彼女の写真を見て以来、すっかりファンになってしまった。
 アリシアは本当にキュートでクールだ。無垢で可憐だ。だからファンがたくさんいる。
 それゆえ、本作は自分や彼らの需要に応えて、「アリシアのプロモ」となっている。主演の彼女を「ビバリーヒルズに住むセレブのお嬢様」という設定にして、ありあまるほどのブランド服を持っているということにした。だから、「ワンシーンごとに衣装が違う」のだ。恐らく制作費のうち衣装代がダントツだったに違いない。そしてどんな姿もよく似合うのだった。まさに「彼女とファンのための」映画だといえる。
 ストーリーはありがちな学園ラブコメであり、特筆すべき点は無い。だが、何よりの見所は「アリシア」自身なのだ。観る者はただ、彼女の美貌に酔えばいいだけである。了
[1] ロジャー・ドナルドソン監督『カクテル』1988
[2] 『スクリーン』近代映画社

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